■ヘロインの精神的症状

 ヘロインの摂取は強烈な陶酔感をもたらすと言われています。その心地良さは精神的な依存性を強め、禁断症状の激しさは肉体的な依存を高めます。耐性も大きく、またたくまに使用量も増えてゆきます。

 薬が切れると、禁断症状がおそってきます。最初のうちは倦怠感や、あくび、くしゃみ、不眠、鼻水やよだれが出るといった不快な症状程度ですが、じょじょに動悸、発熱 、悪寒、全身の震えなどの身体的症状が起こってきます。続いて筋肉や関節の激痛、下痢などを繰り返し、それによって意識が朦朧としてきます。また蟻走感といって、体中を小さな虫がはい回るような不気味な感覚におそわれます。

 こういった激しい禁断症状が慢性的に続くと、精神は完全に錯乱してゆきます。異常な興奮状態に陥って自分のからだをかきむしったり壁にぶちあてたりするような自傷行為に至ることもよくあります。すでに人間としての正常な感覚や精神活動はまったく失われた状態といってもよいでしょう。この錯乱状態は、入院すれば治癒するというものではなく、根深い精神障害として残ります。

耐性:過去に得られた効き目と同等の効き目を得るために、以前よりも更に多くの量を必要とする状態になること。耐性は時に依存と共に発現することがある。

蟻走感:その名の通り、体中を小さな虫に這い回られるような気味の悪い感覚です。ことに皮膚と筋肉の間に虫が走る感覚がし、皮膚が裂けるまでかきむしらずにはおれない状況に陥ります。