■覚せい剤の原料

 覚せい剤と他の薬物(コカインやヘロイン、大麻など)との決定的な違いはその密造方法にある。それは覚せい剤が全くの化学化合物であるという点においてだ。そのため、分子構造が安定しており、なかなか分解されず長い間体内に残るため乱用者にさまざまな中毒症状を生じさせる。

 覚せい剤にはさまざまな名称があるがこれらは大きく分けて、アンフェタミン系覚せい剤とメタンフェタミン系覚せい剤、デキストロ・アンフェタミンとに分類される。ここではこれらのうち、メタンフェタミン系覚せい剤の原料を見ていきたいと思う。

 そもそもメタンフェタミンの原料は現在も漢方薬として使われている麻黄(マオウ・エフェドラ)である。ここからエフェドリンが抽出され、他の化学物質と反応させ密造される。こうして密造された覚せい剤はさらに、ラクトース(lactose乳糖)、エプソムソルツ(エプソム塩といわれる嘔吐剤)、キニーネ、ストリキニーネ、殺虫剤、写真の現像液などと混ぜられる。これらの有毒な混和剤に対してヒトは自然に備わった嘔吐などの拒否反応を示すほか、そのショックが大きいと死に至ることもある。また、これらの混和剤が血管に詰まり、腎臓病や肺機能障害を引き起こす。