■覚せい剤の呼び名

■一般的な呼び名 

 "A"(エー)、beansビーンズ(「豆」の意。剤形から)、beaniesビーニーズ(前同様)、benzベンツ(成分から)、benziesベンズィーズ(成分から)、black beautiesブラック・ビューティーズ、blackbirdsブラック・バーズ、black molliesブラック・モーリーズ、bombidoボンビード、bombitaボンビータ、bottleボットル、brownsブラウンズ、bunbulebeesバンブルビーズ、businessman' tripビジネスマンズ・トリップ、cart -wheelsカートホイールズ、chalkチョーク(「白墨」に似ていることから)chicken powderチキン・パウダー、coast-to-coastコースト・トゥ・コースト、(「西海岸から東海岸へ」の意。これらの覚せい剤はいずれも長距離トラック運転手などが主に使用する)、co-pilotsコーパイロッツ(副操縦士)、crankクランク、crystalクリスタル(結晶の意)、crossroadsクロスローズ(錠剤に+印の刻印があるため)、dexiesデキシーズ(商品名Dexedrineから)、double-crossダブルクロス(刻印から)、eye-openerアイ・オープナー(目覚まし=覚せい剤)、fivesファイブズ、footballsフットボールズ(カプセルの形から)、forwardaフォワーズ(薬効から)、greeniesグリーニーズ、heartsハーツ(剤形から)、jellybabiesジェリーベイビーズ(カプセルの形がゼリービーンズに似ていることから)、jellybeansジェリービーンズ(同様)、jugジャッグ(俗語で「刑務所」の意味あり)、L.A.エル・エー(つまりロス・アンジェルス。アメリカの覚せい剤は主として西海岸で密造される)、turnroundsターンラウンズ、lidpopersリッド・ポッパーズ(リッドは蓋の意。ここではeyelidつまり「目蓋(まぶた)の意で、それがポップ(パチンとはじける)=目玉パッチリ)、lightningライトニング(稲妻)、methメッス(methamphetamineメタンフェタミンの最初の四文字)、minibeeniesミニビーニーズ(小さな豆。カプセルの剤形から)、nuggetsナゲッツ(固まり)、orangesオレンジズ、peachesピーチス(いずれも色から)、pep pillsペップ・ピルズ(pepペップとは元気を意味する俗語。pillピルは錠剤。つまり元気グスリ)、pink and green ampsピンク・アンド・グリーン・アンプ(カプセルで、半分がピンク、残りの半分が緑色のもの。ampアンプとはアンフェタミンの最初の三文字)、rythmsリズムズ、rosesロウジズ、skyrocketsスカイロケッツ(クスリで「スットブ」ような覚醒効果)、sparkle plentiesスパークル・プレンティーズ(同様、薬効から)、speckled birdsスペックルド・バーズ(斑点のあるカプセル)、speedスピード(覚せい剤の俗語で一番一般的)、splashスプラッシュ(本来「飛沫」の意。薬効から)、sweetsスウィーツ、tensテンズ(商品名をtenuateと称する覚せい剤)、thrustrsスラスターズ(thrustは「突き刺す」薬効から)、truck driversトラック・ドライバーズ(文字どおりトラックの運転手。外国では、彼等に覚せい剤の乱用者が非常に多い)、turnaboutsターナバウツ(「回転木馬」薬効が想像できる)、uppersアッパーズ(upアップは興奮。それにerがついて「興奮剤」)、Vivarinヴィヴァリン(商品名)、wake-upsウェイクアップス(目覚ましの意)、waterウォーター、west-coast turnaroundsウエスト・コースト・ターナラウンズ(西海岸は覚せい剤密造の本場、そこにある回転木馬)、whitesホワイツ(白色錠剤について)。

■クリスタル/クランク

 クリスタルは、一般に広く用いられている乱用薬物の一つです。これは「メタンフェタミン」の別名で、通常は白色の粉末ですが、製造方法によっては、様々な色をしています。殆どのクリスタルは密造品です。

    クリスタルはまたの名を「クランク」(CRANK)(キチガイとか元気にはしゃぎ回るなどの意味を持った俗語ですが、薬物に関して使われる時は「シャブ」の意味です) とか「ゴー・ファースト」(GO FAST)といい、通常は注射されますが、鼻から吸うこともあります。摂取してから30分位は強烈な興奮と快感を覚えますが、その後は3時間から12時間位にわたって覚醒状態が持続し、その間、大抵の使用者は眠ることも物を食べることも出来なくなります。そして彼等の大半は偏執病的な傾向を強めてゆきますため、問題は更に拡大します。

その他の危険性:覚せい剤の使用が斬増してゆきますため、常習乱用者になりますと朝のうちは「アッパーズ」(覚せい剤)を使用してすっきりした気分を楽しみ、そして夕方には、緊張を解いてゆっくり睡眠をとるために「ダウナーズ」(睡眠薬)を摂取するようになります。こうした行動は人体の自然なはたらきに逆らうものでありますため、次第に肉体的にも精神的にもさまざまな病気を引き起こします。耐薬性(トレランス)は急激に上昇するため、多幸感(ユーフォリア)や食欲抑制等を経験するためには、以前にも益して多い量の覚せい剤を摂取する必要を生じ、その結果、所謂「薬物依存」(DRUG DEPENDENCE)が形成されるのです。こんなところから、ドラッグ・カルチャー(薬物乱用の風潮)は「シャブは身を滅ぼす」("SPEED KILLS")という言葉を作り出しましたが、まさしく、最後は死に至らしめるのです。

■アイス(ICE)

 日本では「シャブ」、韓国では「ヒロポン」と呼ばれる、また、結晶が透明であるところからアメリカの中毒者の間では「アイス」(氷)と呼ばれています。どこか遠い国で植物から作られるような類のものとは全く違い、いわば、科学万能の現代を象徴するようなクスリで、どこでも手に入るような化学薬品を使って密造所で合成される物質です。

 アイスは特別新しいクスリではありませんが、西部諸々州で長年広く使用されている一段と強い力を持ったメタンフェタミンのことで、別名「スピード」とも呼ばれています。

 サンディエゴのような都市で製造された「メッス」(meth。methamphetamineの通称)や「クランク」よりも更に高純度で且つ一層きれいな結晶をした「アイス」はアジアから米国に流れ込んだもので、最初にハワイを襲いました。

 このクスリは「クリスタル」(crystal。水晶、結晶などの意)とも呼ばれ、記録によれば、ハワイでわずか4年間に、なんとマリファナやコカインを凌ぐ第一の乱用薬物として台頭しました。アイスの魅力はなんといっても値段が手頃なことで、十分の一グラム入りの通称「ペーパー」といわれるものが50ドル(約5,000円)は、日本の末端価格からすれば破格です。因みに我が国ではこの量ですと1万円以上します。クリスタルの持続時間は8〜24時間と、コカインが僅か20〜30分であるのに比較しても、ずいぶん長い効き目があります。覚醒作用がこのように長持ちすることから、仕事一辺倒の働き者(workholics)が多い韓国では多くの人々にもてはやされ、今では中毒者人口が130,000人と推定されています。

 アイスは、これを使用した人に対して、長時間にわたり醒めた状態を作りだすとともに、仕事への集中力を高め、そのうえ満ち足りた気分のユーフォリア(多幸感)をもたらします。

 しかし一方アイスを使い続けますと凶暴な振る舞いに及ぶようになり、ホノルル警察の発表によりますと、同警察が1989年10月に取り扱った配偶者に対する暴力事件の70%が、こうしたアイスの乱用を原因として発生していることが報告されています。このクスリはコカインと同様の中毒性があり、実に悲惨な副作用をもたらします。非常に長い期間にわたって精神的ダメージを与えますが、そのことが原因となって、クスリを止めてから2年半も経過して、なお臓器の機能不全が見られるといった例も報告されています。長期間にわたるこのクスリの乱用は致命的な肺疾患や腎機能不全をもひきおこします。

 ホノルル警察本部長ダグラス・ギップによる最近の連邦機関における報告によれば、福祉関係当局に報告された数字として、常に母胎を通じてクスリに侵された状態で生まれてきた赤ん坊の出生率は、嘗て週に二人という数字でしたが、昨年では急増を示し、週に六人とのことです。当局は社会福祉関連予算の膨張、なおその原因の全てがアイスに起因すると見ています。新生児に対するアイスの副作用に的を絞った研究ではコカインのそれとは比較にならないほど、大きいということが判っています。幼児の中には泣き喚きと体の震えが24時間絶え間なく続く子もおり、こうした子どもの殆どすべてが反社会的な性格を示し到底愛情の絆を結ぶことも困難な状態にあるのです。

 ハワイのリハビリ施設では、コカイン中毒者に匹敵するほどのアイスの中毒者が、治療を待っております。しかも覚せい剤乱用事件は大津波を思わせる状況でこの地を襲いつつあるのです。関係者はアイス対策が整備されるに至ってない状況のなかで、せめてアメリカ本土にだけは、こうした薬害が及ばないことを願っています。

 しかし、「アイス」の想像を絶する副作用は、すでに大方の薬物乱用者の耳に達しており、従って、彼等はこのクスリだけは巧みに避けているようです。これ以外の形の覚せい剤の乱用者でさえ、何日も連続して「アイス」の影響の下にあることについては、どうもあまり魅力を感じないようです。願わくは、こうした事情が理由となって、製造する側にも「売れないものは製造を差し控える」ことになれば幸いです。供給を呼び込むのは常に需要です。この言葉をしっかりと理解して下さい。「アイス」はどう見ても「クール」(冴えていてかっこいいこと)ではないのです。