■再燃現象(フラッシュバック)

 薬物の乱用の害は半永久的に続きます。薬物の乱用などでひとたび幻覚・被害妄想などの精神病の症状が生じると、治療によって表面上は回復しているかにみえても、精神異常が再び起こりやすい下地が残ってしまうのです。乱用をやめ、普通の生活に戻ったようでも、何かの刺激によって再び幻覚・妄想などの精神異常が再燃することがあります。これをフラッシュバック(自然再燃)現象といい、お酒を飲んだり心的なストレスなど、ほんの小さなきっかけでおこってしまうのです。

■覚せい剤による中毒性精神病の発現と再燃の経過

 覚せい剤の乱用者では、比較的多く中毒性精神病を発現する。多くの場合、覚せい剤を周期的に使用して2、3カ月位経つと、幻覚、幻聴、被害妄想などの病的症状が出てくる。覚せい剤精神病は発病後、早期に治療すれば比較的容易に治るが、すぐ治療に結びつかないので長期間放置されてしまうと、幻覚などが慢性化・固定化してしまい、完全に治すのは非常に困難となる。また、早期に治療して治った場合でも、覚せい剤の反復使用による脳内の変化は持続しており、図に示すように症状再燃の準備性は長期に保持される。従って、覚せい剤精神病は、覚せい剤を比較的長く打ち続けた後に、初めて発病するのが一般的であるが、一度、幻覚・妄想などの症状が出てしまうと、その後は治療によって治っていても、覚せい剤を少量再使用しただけで以前と同程度の症状が容易に再燃してしまうのである。時には、覚せい剤を使用しなくても、大量に飲酒したり、心理的なストレスが契機となって、精神病の症状が容易に再燃することが見られる。