■薬物乱用予備軍を育む現代社会 - 青少年を取り巻く生活環境変化 -

 現在、我が国では覚せい剤や有機溶剤の乱用が、厳しい取締や処罰の強化に対しても抵抗性を示し、過去に経験した薬物乱用と比較して、著しく長期化する傾向がうかがわれる。その理由としては、これらの薬物の入手可能性が高いことも一因であるが、やはり都市化現象など、現代社会の持つ病理性が大きな背景になっていると思われる。

 我が国においては、1960年代の高度経済成長の影響による、生活水準の向上、都市化現象など、社会の構造的変化が指摘されている。特に、次代を担う青少年の生育・生活環境においては、図に示すように大きな変化がもたらされている。これらの変化が青少年を薬物の乱用や非行へと結び付ける温床となっていると思われる。

青少年を取り巻く生活環境の変化

 
1. 生活水準の向上に伴い、価値観が多様化し、社会的規範の低下やサブカルチャーを容認する傾向が助長されていること。
2. 都市化現象に伴う自然環境からの隔離、社会的連帯感の希薄化、疎外感の助長、都市のもつ匿名性、享楽的風潮などが助長されていること。
3. 進学率の著しい上昇、高学歴化の進行、受験準備の大衆化にともなって、落ちこぼれる児童・生徒が続出していること。また、教師と生徒との人格的触れ合いが不足する傾向にあること。
4. 核家族、少子家族が一般的となり、大家族がもっていた家族の教育・養育機能が低下する傾向にあること。
5. 情報化の進展の中で、的確な判断や情報の選別力に青少年が情報の洪水(例えばアルコール飲料のコマーシャル)に押し流され、主体性を失うおそれが強くなるとともに、青少年の考え方や行動が感覚的になってしまう傾向にあること。
6. 国際化の進展の中で、海外渡航した青少年が大麻などの薬物乱用に汚染されて、その流行を持ち帰る危険性が増大していること。