■青少年の精神行動と問題行動

 青年期には、人生上2つの人格発達課題をこなす必要がある。健康な大人になるためには、(1)<社会化>;社会の一員としての行動様式、規範を習得する過程と、(2)<個性化>;自己同一性を確立し、自己実現する過程をこなす必要がある。個性豊かにといっても法律を無視しては、健康な大人にはなれない。まず、大枠にはまって、その中で個性を発揮する必要があるのである。青年期はこのような人生上の課題と、内から生ずる本能的欲求との狭間で、葛藤状態におかれ、心理的に不安定な状態である。

 青年期は親や社会が危険だからと禁止していることにも、自分で試してみなくては、なかなか納得できない、冒険心に富む年代である。そこから色々な発明や発見もなされるであろう。青年期の冒険には、一時的な疾病的逃避、さぼりといった<自我収縮的>冒険もあれば、喫煙、飲酒など<自我拡張的>冒険もある。これらの冒険が進行して病理的な段階では、非社会的あるいは反社会的行動として、何らかの治療的対応が必要となる。有機溶剤吸引などの薬物乱用は自我拡張的な反社会的行動としても、自我収縮的な反社会的行動としても、見られるのである。社会では、非社会的行動には比較的同情をもって対応することが一般的であるが、反社会的行動にも同じく、愛情をもって対応して欲しいものである。