[ ピー・シー・ピー(PCP)=フェンサイクリディン(phencyclidine)の詳細 ]

■通称

 アンデバ(andeba)、エンジェル・ダスト(angel dust)、エンジェル・ヘアー(angel hair)、アニマル・トランキライザー(animal tranquilizer)、シー・ジェイ(CJ)、キャディラック(cadillac)、クリスタル(crystal)、クリスタルジョインツ(crystaljoints)、サイクロンズ(cyclones)、ディー・オウ・エイ(DOA=dead-on-arrival。"DOA"とは、「到着時死亡」ということを意味する略語で、患者や怪我人等が病院等へ運ばれてきたときに、既に死亡していた、ということを意味する言葉。ここでは、それほど強力で危険なクスリといった俗語)ダスト(dust)、エレファント・トランキライザー(elephant tranquilazer)、グーン(goon)、ホッグ(hog)、ホース・トランキライザー(horse tranquilizer)、ケイ・ジェイ(KJ)、キラー・ウィード(killer weed)又はワック(whack)(この二つは大麻との混合物)、ミスト(mist)、ピース・ピル(peace pill)、ピッグ・トランキライザー(pig tranquilizer)、ロケット・フューエル(rocket fuel)、スカッフル(scuffle。スカッフルとは「取っ組み合いの喧嘩」で、このクスリの性質が判ります)、ソウマ(soma)、スーパーグラス(supergrass)、スーパーウィード(superweed)、サーファー(surfer)、シンセティック・マリファナ(siynthetic marijuana。シンセティックとは合成されたという意味)、ウィード(weed)。

■PCPは、街で取引されているクスリの中で、その作用を予測することが非常に困難なものの一つです。有頂天な酩酊状態から、陰鬱なせん妄(delirium。幻視など一時的な思考の錯乱で、うわごとを言ったりする)の発作に至るまで、その作用の幅は非常に広くなっています。使用者は、第一段階では、自分の肉体的な変化が生じているとか、自分が自分の体から離脱してゆく感じや「離人現象」(自分のしていることを外部から自分で注視している感じ)を伴って、自分の体がどんどん小さくなってゆくように感じたり、更には無重力状態にあるように感じたり、自分の体から抜け出して行くような感覚を味わったりします。

 第二段階では、幻視や幻聴などを含む知覚的な歪みが発生し、正確な時間や空間の認識が不可能になります。こうした段階に入る頃には、使用者は非常に多弁になります。第三段階では感覚麻痺(アパシー、apathy)、無関心(indifference、ヒステリー患者に見られるもので、自分の状態や症状に満足する態度)、精神錯乱(estrangement)を待ちます。薬物による酩酊状態が去ると抑鬱と偏執病の人格障害を示します。こうした最終段階に入りますと、虚しさと絶望感のみに支配され、それが昂じてさし迫った死だけを見詰めるようになります。

 PCPは、概ね1〜6時間の「トリップ」(クスリが効いている間の精神的な彷徨)をもたらします。正常な状態に戻るまでには24時間を必要とします。このクスリの作用を正確に言い表すことは不可能ですが、使用者の言によると、他の如何なる薬物の作用とも全く異なったものだそうです。PCPは所謂「サイケデリック」(催幻覚的薬物全般をいいます)な多くのクスリのなかで、その中心的な位置にあります。クスリの形態は様々ですから、肉眼で識別することは不可能です。本来は白色結晶性粉末であるこの薬ですが、LSDを中心に他の色々な薬物と混ぜてゼラチン・カプセルに入れた状態にしたり、喫煙できるような状態の物に浸したり振り掛けたりして一層強力な幻覚をもたらします。(例えば、タバコに振り掛けた物は、「シャーマン」[sharman]、大麻に浸した物は「ワック」[whack]又は「ボウツ」[boats]と呼ばれますが、これらの他にも、パセリやミントなどに浸したり振り掛けたりします。)

PCPは我が国では「麻薬」に指定されています。