[ メスカリン(mescaline)の詳細 ]

■通称

 アンハロニウム(anhalonium beans)、ボタンズ(buttons)、カクタス(cactus)、ヒコリ(hikori)、フアタロー(huataro)、ミースィー(mese)、メスカル(mescal)、メスカル・ボタン(mescal buttons)、ムーン・プランツ(moon plants)、スィーニ(seni)、ワコウィー(wakowi)。

■メスカリンは「ペヨーテ」(サボテンの一種)の幻覚をもたらす主成分です。この植物そのものからも摂取することができる他、味も外観もまるで茶色い土のような有機体メスカリンをこの植物から取り出すことも可能です。合成の硫酸メスカリンは白色、針状結晶ですが味はほぼ同様です。末端の密売で、合成のメスカリンの本物に出会うのは極稀です。通常メスカリンとして売買されている物の殆どは、PCP(フェンサイクリジン)、LSD(エルエスディー)、PCPとLSDの混合物、アンフェタミン類、STP(メトキシメチルアンフェタミンですが、「馬力」を上げることができるということで、1970年代に流行っていたガソリンの添加剤である「エスティーピー」(商品名STP)の名を借りてこう呼ぶようになりました)、ベラドンナ・アルカロイド(ベラドンナはヨーロッパ及びアジア原産の植物で、スコポラミン、アトロピン、エル・ヒヨスチアミンなどのアルカロイドを含む)、又は不手際な合成から生じた諸々の夾雑物を含む物などです。

■メスカリンが注射されることは稀で、カプセルにすることは可能ですが、天然のペヨーテ・サボテンをそのまま口に含み、柔らかくなるのを待ってから、咀嚼しながら、或いはそのままで、嚥下して摂取します。苦味は避けがたいもので、摂取後、嘔吐することがあります。

 メスカリンの「トリップ」(トリップとは「旅をする」ことですが、ここでは、薬理作用によって、精神的に尋常でない状態が作られ、その異常な状態の中に精神的に「彷徨う」(トリップする)ことを言います。)も、LSDの場合と同様で、その時の心の状態(これをセット[set]といいます)や環境条件(これをセッティング[setting]と言います)に大きく左右されます。つまり、ある場合にはまるで霧の中を舞うような幻覚的感覚を味わうでしょうし、また別の場合には精神分裂病様の傾向を示して、発作的に不機嫌になったり何の理由もなく激昂したり、不安、混乱、抑鬱、しんせん(=震え)、悪心、不眠、食欲不振などが見られることがあります。楽しいという感情と悲しいという感情、うわついた感情と怒りの感情といったように、相反する感情が併存する状態になることも稀ではありません。使用者としては全く脈絡のない感情に支配されて面食らってしまうといったことが起こります。

 ご存じのとおり、メスカリンはメスカレロ・アパッチ(インディアン)が儀式の際に用いていたもので、今ではアメリカン・チャーチに属する土着民のみの使用が許されています。

わが国ではメスカリンも「麻薬」に指定されています。