■有機溶剤が身体に与える影響には次のようなものがあります。

脳に対して:
 大脳の神経細胞の死滅により、脳が萎縮し、意識障害、記憶力低下、幻覚・妄想などを引き起こします。また、小脳失調や脳波異常も生じ痴呆となります。

気管支・肺に対して:
 粘膜が侵されるため、慢性気管支炎を生じ、咳や痰がでる。

胃・肝臓に対して:
 細胞の一部が死ぬため、食欲不振、腹水、黄疸、肝機能障害を生じる。また、胃粘膜が侵され出血し、胃痛、はきけ、嘔吐が起こる。

腎臓に対して;
 腎障害として、蛋白尿や浮腫があげられる。

目に対して:
 視神経が侵され、眼底出血が起こり、視力低下や失明ををうながす。

歯にたいして:
 有機溶剤乱用者の歯は溶かされてぼろぼろになります。

心臓に対して:
 心不全、不整脈、胸痛など。

抹消神経に対して:
 手足のふるえ、しびれ、麻痺。

骨髄に対して:
 赤血球がつくられなくなるため再生不良性の貧血が起こる。

生殖器官に対して:
 生理不順、生殖能力の低下、先天異常など。妊婦、出産にも悪い影響があります。

その他:
 有機溶剤を強迫的に使用する乱用者では、喉の渇きや空腹の感覚さえも麻痺されて、急激に脱水症状や栄養失調を呈して緊急入院を要することもあります。また、狭くて、換気の悪い場所で吸っていて呼吸麻痺を起こして死亡することもあります。

慢性気管支炎:
 何カ月かにわたって毎日のように咳や痰がでます。これは気管支に慢性の炎症が起こっているためで、階段の登り降りや速足などのちょっとした運動で呼吸困難が起こります。また、心臓に負担がかかるので心不全を引き起こします。

黄疸:
 血液中のビリルビンという黄色い色素の量が増え、皮膚や粘膜が黄色くなっていく症状です。肝炎などにかかるとこの症状が現れます。

肝機能障害:
 肝臓は、色々な成分を合成したり、分解したりした物質を血液中に供給しているので肝臓に病気がおこると血液や腎臓などにも影響を及ぼします。肝機能の障害には色々な種類がありますが、黄疸もその中の一つといえます。

腎機能不全:
 腎臓には血液を濾過する働きがあります。そのため、腎臓が正常に機能しないと、腎不全などを引き起こします。一度腎不全にかかると腎臓の働きが正常に戻ることはなく、尿毒症などの様々な症状をも引き起こします。

浮腫:
 浮腫とは、押すとへこんでしまう、むくみのことで、肝臓や腎臓の病気が原因でおこります。

不整脈:
 安静にしている時の成人の心臓は通常、1分間に60〜80回規則正しく拍動します。この心臓の拍動が乱れ、脈の打ち方が乱れる状態が不整脈です。突然死の中には不整脈が原因である場合もあります。

心不全:
 血液を送り出すポンプとしての心臓の働きが低下すると、十分な血液を全身に送ることができなくなる状態が心不全です。突然息苦しくなったり、呼吸困難に陥ったりするため、突然死を招くことにもなります。

再生不良性貧血:
 血液を作る骨髄の働きが衰え、血球が十分に作れなくなって起こる、貧血です。発熱や喉の痛みなども引き起こします。