-国連薬物特別総会・政治宣言-

薬物は生命や社会を破壊し、人類の持続的な進歩を徐々に蝕み、犯罪を生み出す。薬物はすべての国々の社会のあらゆる分野に影響を与えるが、特に、薬物の乱用は世の中で最も貴重な財産である青少年の自由と成長に影響をおよぼす。薬物は全人類の健康と福祉、国家の独立、民主主義、国の安定、すべての社会構造、何百万もの人々とその家族の尊厳と希望を脅かす。したがって、

私たち国連加盟各国は、

世界の深刻な薬物問題を憂い、第20回特別総会に参集して、信頼と協力の精神の下に、この問題に取り組んでいくための対策の拡大を検討し、

1)国内および国際戦略によって世界の薬物問題を克服し、薬物を不正な売買の両面から減少させるために、確固たる決断とコミットメントを再確認する。

2)世界の薬物問題に対する行動は各国共通の責任であり、国連憲章及び国際法の目的と原則に完全に合致した統合的かつバランスのとれた取り組みを必要とする。また、その取り組みにはとりわけ、国家の主権と領土保全、内政不干渉の原則、すべての人権と基本的自由への十分な配慮が求められることを認識する。私たちは、世界の薬物問題には多国間的な取り組みが必要であるとの認識から、三つの国際薬物統制条約にまだ参加していない国に対し、条約への参加とその完全な実施を求める。また、私たちはこれらの条約の条項を実行するための包括的な国内法と戦略を採択、履行するため、定期的な見直しによって戦略の有効性を確保しながら、コミットメントを新たにする。

3)国連およびその薬物統制機関への支援、特に、世界の薬物問題にたいする国際協力のグローバル・フォーラムである麻薬委員会(CND)への支援を再確認し、これらの機関の機能と管理の強化を決意する。

4)計画と政策決定のあらゆる段階に男女がともに関与することによって、世界の薬物問題に対する戦略から、男女がいかなる差別もなく同等の利益を確実に得ることを保証する。

5)各国で個々に、および協力して達成された進展を評価し、アンフェタミン系興奮剤をはじめとした不正な薬物使用が行われている新たな社会状況に対し、深い懸念を表明する。

6)薬物乱用問題に対して様々な分野で活躍している人々の努力を歓迎し、不正な薬物を使用しない大多数の青少年の行動に励まされつつ、公式、非公式を問わない教育活動、情報活動、その他の予防対策を通じた青少年への投資および青少年との協力によって、薬物の乱用の削減に格別の注意を払っていくことを決意する。

7)薬物乱用者となった子供、青少年、成人男女の治療とリハビリに必要な資源を提供して、彼らの尊厳と希望を回復するための社会復帰を可能とし、世界の薬物問題のあらゆる側面に対して闘う決意を確認する。

8)国連システムへ要請を行い、また、世界銀行及び地域開発銀行等の国際金融機関によびかけ、各国の優先順位を考慮しつつ、それらの機関のプログラムに世界の薬物問題に対する行動を盛り込むよう要請する。

9)必要があれば国連薬物統制計画(UNDCP)や国際麻薬統制委員会(INCB)の助力も得て、地域や小地域メカニズムの確立や強化を要請し、そうした機構に対して、国家戦略の実施から得られた経験と結論を共有し、それぞれの活動を麻薬委員会(CND)へ報告するよう要請する。

10)薬物の密造と不正取引、およびテロリストグループや犯罪者、国際的な組織犯罪の関係に深い懸念を表明し、これらの脅威に対する私たちの協力強化を決意する。

11)武器、薬物の密造と不正取引の結びつきから生じる暴力の増大を懸念して、密造武器の不正取引根絶に協力し、適切な対策を通じてこの領域における具体的な成果を達成することを決意する。

12)生活に入り込むことを断じて許してはならない不法な薬物の使用に取って代わる、健康的で生産的かつ十分な代替手段を強調、促進することによって、家庭をはじめとする我々のコミュニティー、政治や宗教、教育、文化、スポーツ、ビジネス、労働組合指導者、世界の非政府組織とメディアに対し、薬物の乱用のない社会を積極的に推進するよう要請する。

13)合成薬物の密造、不正取引、乱用が増大している傾向に特別の注意を払うことを決意し、特別総会で採択された「アンフェタミン系興奮剤及び前駆物質の不正製造。取引きおよび、乱用防止に関する行動計画」を実行するための国内法や国家プログラムを、2003年までに確立および強化することを要請する。

14)特別総会で採択された前駆物質の規制対策に特別の注意を払うことを決意し、さらに、合成薬物や前駆物質の転用を含む向精神薬の密造、不正販売、不正取引を、2008年に根絶もしくは大幅減少させる事を決意する。

15)薬物取引に関連するマネー・ローンダリングに対して特別の努力を払い、これに関連して、国際、地域、小地域の協力の強化の重要性を強調し、1988年の「麻薬と向精神薬の不正取引に対する国連条約」を未だ採択していない国家に対して、同条約の当該条項に沿った国内のマネー・ローンダリング規制やプログラム、ならびに特別総会で採択されたマネー・ローンダリング対策を、2003年までに採用することを勧告する。

16)特別総会で採択された司法協力推進対策に沿って、薬物犯罪やこれに関連する犯罪行為に関与する犯罪組織に対応する司法当局と法執行当局の多国的、地域的、小地域的、および相互的協力の推進に着手し、これらの対策実効を見直し、適宜、2003年までにそれを強化するよう、各国に対し奨励する。

17)世界の薬物問題に対抗するためのグローバルな取り組みにおいては、薬物需要の削減が重要な柱であると認識し、「薬物需要の削減の指針原則に関する宣言」の中で示された条項を各国のプログラムを戦略の中に取り入れること、国連薬物統制局(UNDCP)と緊密な協力を行って行動志向型の戦略を策定し、宣言の実行を援助すること、そして公衆衛生、社会福祉、司法当局との密接な協力で策定する、新たに拡大した薬物需要削減戦略を2003年をめどに確立することを明言し、2008年までに需要削減の分野において大きな、かつ重要な成果の達成を約束する。

18)本特別総会で採択された「不正薬物作物の撲滅および代替開発に係わる国際協力に関する行動計画」に沿って、薬物作物の根絶に向けた総合的な取り組みの必要性を再確認する。不正な薬物取引に巻き込まれる最も脆弱な人々を、合法的かつ活力のある経済活動へより適切に融和させることを含めて、代替作物開発においては協力が極めて重要であることを強調する。また環境保護に特別な注意を払いつつ、不正な栽培や合成、密造、不正取引に対抗するための撲滅プログラムと法執行の必要性を強く訴える。この関連で、代替作物開発の分野における国連薬物統制計画(UNDCP)の作業を強く支援する。

19)不正な網作物の根絶に対する国連薬物統制計画(UNDCP)のグローバルな取り組みを歓迎し、国連薬物統制計画(UNDCP)と緊密に協力してコカ、大麻、ケシの不法な栽培を2008年までに根絶もしくは大幅に縮小することを目指した戦略を作成する。私たちは、自らの努力でこれらの目標を達成するため、国際的な支援を動員する決意を確認する。

20)すべての国家に対し、この特別総会の結果を踏まえて国家政策と国家プログラムを策定すること、これら2003年と2008年の目標を達成するための活動に関する報告を麻薬委員会(CND)に2年ごとに行うことを要請し、同委員会に対しては世界薬物問題と闘う協力的な活動を拡大するために、これらの報告書の分析を求める。

これらは新たな、重大な公約であり、その達成は困難であるが、目に見える真の成果を確保するために必要な実際の行動と資源によって、このコミットメントを達成することを固く決意するものである。

私たちは協力を通じて、この課題を達成することができるのである。