-D:マネー・ローンダリング対策-

総会は、麻薬および向精神薬の不正な取引ならびにその他の重大犯罪から派生する資金の洗浄問題が国際的に拡大し、金融・貿易システム、さらには政府機構の一体性、信頼性及び安定性に対する地球的な脅威となっているために、犯罪人とその不正な収益に安全な逃げ場を提供しないよう、国際社会全体が対策を講ずる必要があることを認識し、マネー・ローンダリングを処罰可能な犯罪として確立すること、および、当局が薬物不正取引の収益を判別、追跡および凍結あるいは差し押さえを可能にするために必要な措置を執ることを全締約国に義務づける1988年の「麻薬および向精神薬の不正取引の防止に関する国連条約」の規定を想起し、先進7カ国の首脳および欧州委員会議長によって設立された「金融行動タスクフォース」の40項目勧告が、引き続き、関係国によって差託されたマネー・ローンダリング対策を判定する基準であることを指摘した1996年4月24日の麻薬委員会決議5(XXXIX)、ならびに、米州機構全米薬物乱用統制委員会が1996年10月にブエノスアイレスで開催された第21回通常会期で承認し、1996年12月にモンテビデオで署名された「西半球薬物対策戦略」と題する文書に満足を示し、国際社会に対して、第17回国連特別総会で採択された「地球的行動計画」の強化への顕著な貢献として、西半球における薬物対策戦略を十分に考慮することを促した1997年7月21日の経済社会理事会決議1997/40を想起し、欧州理事会閣僚委員会によって1990年に採択された「犯罪による収益の洗浄、捜索、差し押さえおよび没収に関する条約」、1955年にブエノスアイレスで開催された「犯罪の収益洗浄および手段に関する米州サミット会議」の閣僚コミュニケ等に反映されたものをはじめとする、国際社会によって表明された政治的意志、ならびに、米州機構全米薬物乱用統制委員会、マネー・ローンダリングに関するアジア太平洋グループ、カリブ金融行動タスクフォース、オフショア銀行監督官グループなど、いずれもマネー・ローンダリング対策を目的とする広く認められた多国間イニシアチブであり、関係国がマネー・ローンダリング対策を決定、採択する法的あるいは政治的枠組みを構成する機関によって表明された政治的意志を認識し、銀行その他の金融機関を通じて洗浄される、薬物不正取引およびその他の不正行為の収益が、金融市場を歪めるという点において、合法的投資を誘致するための金融市場自由化に向けた政策の実施にとって障害となることを意識し、各国がその司法管轄権の範囲でマネー・ローンダリングと闘うために実行している行動を害することなく、マネー・ローンダリング対策に関する政策の適切な調整を確保する目的で、国内立法を調和させる必要があることを強調し、不正行為から取得あるいは派生した財産の捜査、凍結、差し押さえおよび没収のための効果的なメカニズムを促進、開発することにより、犯罪人によるその使用を回避する必要性を認識し、マネー・ローンダリング問題への効果的な対策は、国際協力ならびに各国に権限ある当局間の情報交換を認める「エグモント・グループ」等、二国間および多国間の情報網の確立によってのみ可能であることを認識し、マネー・ローンダリングを刑事犯罪とする国内立法を策定、適用しようとする多くの国々の甚大な努力を強調し、関連勧告への適合を図るあらゆる国々の大きな進歩、ならびに、効果的マネー・ローンダリング対策実施の促進および強化を目指す国際的、地域的イニシアチブに各国が積極的に参加する必要性を認識し、

1.薬物不正取引その他の重大犯罪から派生した資金の洗浄およびこれを目的とした各国金融システムの利用を強く非難する。

2.すべての国に対し、憲法の基本原則に従いながら、以下の原則を適用することにより、1988年の「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国連条約」およびマネー・ローンダリング対策規定の実施を促す。

(a)とりわけ以下を通じ、マネー・ローンダリング罪の防止、発見、捜査および起訴を規定するために、重大犯罪から派生する資金の洗浄を犯罪とする法的枠組みを確立する。

(I)犯罪収益の判別、凍結、差し押さえおよび没収
(II)国際協力およびマネー・ローンダリングが絡む事件における司法共助
(III)マネー・ローンダリング罪を司法共助協定に定め、この犯罪に関連する捜査、訴訟あるいは裁判における司法援助を確保すること

(b)以下を通じ、犯罪人とその不正資金に国内・国際金融システムへのアクセスを拒絶する効果的な金融・規制体制を確立することにより全世界的な金融システムの全体性を維持し、マネー・ロンダリングに対処する法律およびその他の規制への適合を確保する。

(I)権限ある当局が顧客の身分と金融取引に関する必要な情報を入手するための「己の顧客を知れ」という原則を適用した顧客の身分証明の要請
(II)金融取引記録の保管
(III)疑いのある活動の報告義務づけ
(IV)マネー・ローンダリングの防止、捜査および処罰に向けた努力に対する銀行の守秘義務の障害除去
(V)その他の妥当な措置

(c)とりわけ以下のための道具を提供する法執行措置を実施する。

(I)マネー・ローンダリングに関わった犯罪人の効果的な発見、捜査、起訴および有罪判決
(II)犯罪人引渡し手続き
(III)情報共有メカニズム

3.国連薬物統制・犯罪防止室に対し、マネー・ローンダリング対策に関するその地球的プログラムの枠組みにおいて、マネー・ローンダリングおよび薬物取引対策に関わる妥当な多国間および地域機関ならびに国際金融機関と協力し、要請に応じて適宜、各国に対して訓練、助言および技術援助を提供することにより、上記の原則を貫徹させるべく作業を継続するよう求める。